マラサダはキッチンカー(移動販売車)でも買える?相性や難点、別の方法も紹介
ハワイ発祥の甘いおやつ、マラサダ。このふわふわとした揚げパンは、日本でも多くの人々に愛されていますが、その販売形態は、店舗にとどまらず、移動販売車、いわゆるキッチンカーからも広がっています。
2005年、神奈川県茅ヶ崎市で始まったマラサダの移動販売、マラサダワゴン。今では多くの人にとって身近な存在となりましたが、その背景には、営業許可の取得の難しさや、地域ごとの異なる規制への対応など、数々の挑戦がありました。
この記事では、移動販売車が一般の飲食店とは異なる点や、キッチンカーでのマラサダ販売が抱える問題点など、売る側の視点から見た苦労や工夫、そしてその魅力についてお話してみたいと思います。
—目次—
- マラサダは店舗だけでなくキッチンカーでも販売
- マラサダのキッチンカー(移動販売車)車検証に書かれる用途**
- キッチンカー(移動販売車)とマラサダの相性はどう?
- キッチンカーで売るマラサダの難点
- 地域に関係なくマラサダを楽しむなら通販がおすすめ
- まとめ
マラサダは店舗だけでなくキッチンカーでも販売
マラサダは店舗だけではなくキッチンカー(移動販売車)でも売られています。日本におけるマラサダの歴史開幕は、2005年に神奈川県茅ヶ崎市で販売を開始したマラサダの移動販売車【マラサダワゴン】でした。
今や「キッチンカー」というカッコいい呼び名で認知されていますが、2005年の移動販売車は、露天商の延長のように誤解され、ほとんど全て出店地交渉のテーブルにも乗せてもらえない日々でした。
駅前の歩道に乗り上げてたこ焼きやラーメンを売り、警察が来ると片づけて逃げるようなテキ屋稼業と誤解されていたことも。また、保健所に営業許可を取りに行っても色眼鏡感をひしひしと感じました。
移動販売には営業許可が必要
移動販売車は、出店する場所によって営業許可を取得する必要があります。
例えば、神奈川県では神奈川県一円という営業許可があるといった具合です。しかしその「一円」には横浜市・川崎市・横須賀市・相模原市・藤沢市が含まれません。
横浜だけで営業する際は横浜で取得すればいいのですが、神奈川県全域で営業するには一円許可を含め、6か所で営業許可を取得する必要があります。
営業許可の難しさ
通常、普通の路面店の飲食店は、図面の時点で管轄の保健所に相談に行き、指導に従い建設(機材設置)し、店舗完成後に保健所職員に臨店してもらい営業許可をもらうという流れで取得します。
一方で、移動販売車は保健所に持ち込みが必要です。
そこで問題なく営業許可を取得するには、事前に図面の時点で相談に行き、何かしらの宿題をもらって、それらを解決した現車の持ち込みを求められます。その後、無事に取得できれば、指定したエリアでの営業許可を取得できます。
ここまでは良いのですが、難しいのは2エリア以降の営業許可取得です。既にできあがっている移動販売車で、次の営業許可を取る必要があるからです。
不思議な話ですが、同じ食品衛生法なのに、市区町村によって解釈が大きく違います。ひどいときは同じ町でも、担当者によって違うこともまぁまぁの確率でありました。
・○○市では言われなかった網戸を付けるように言われた。
・○○市では取得できた「飲食店営業」が✕✕市では取れず、「喫茶店営業」を取得せざるを得ない。
・他の町では営業許可証に「備考:容器は使い捨てに限る」と書かれた。
とか・・・なかなか難しい大人の交渉を余儀なくされました。
イベントで他県に行く際にも営業許可は不可欠
大阪府でのイベントに出店するときは、一度事前に新幹線で打ち合わせに行き、イベント前日に設営場所へ保健所職員に来てもらいその場で営業許可をいただいたこともありました。
コロナの時期に飲食店は身を守るため、移動販売車を多く作ったこともあります。それを後押しするために、かなり保健所の言う条件も緩和され、営業許可は格段に取得しやすくなりました。
加えて、事業再構築補助金が使えたのも移動販売車増加の一助になったようです。その結果、今まで二束三文だったオークション会場での移動販売車価格はその時に一気に跳ね上がりました。
営業許可では面白い思い出も…!
営業許可の取得のしやすさでいうと、ある都のある区での取得時の面白い思い出があります。
事前打ち合わせをFAXと電話で行い、いざ保健所に車両を持ち込んだとき、屋根の高さが問題となって地下駐車場に入れず。結局、路上駐車でハザードを点けて保健所前で待機しました。
そこに現れた職員がガードレール越しに窓から中を覗き込んで、「図面通りですね」の一言で許可が下りました。
覗き込んだ窓は運転席のある前の窓で、「完全区画」と定義されている移動販売車においては、その窓からは調理区画の壁の裏側しか見えません。
素敵な職員さんでした。。。
マラサダのキッチンカー(移動販売車)車検証に書かれる用途
普通、一般的な自家用車の車検証には「自家用」と書かれた部分があります。この点、移動販売車は「貨物」のままでも営業許可の取得が可能です。
しかし、貨物の場合は車検時に積載物を下ろす必要があります。また、貨物の車検は一年なので毎年機材を下すことになってしまうのです。
そこで、車検証の用途には「加工車」というものが準備されています。加工車とする場合、細かい規定があり、床面積の45%以上が作業台だとか、なかなか大変なものです。
ただ、これを取ってしまえば積載物を含めた車検が認められるため、その後がラクになります。筆者が営業許可を取得した際も、陸運局に何度も通い、やっとの思いで車検を通しました。
キッチンカー(移動販売車)とマラサダの相性はどう?
当時、マラサダのキッチンカーをスタートさせた2005年の時点では、日本にはマラサダ屋さんがありませんでした。そのため、前例がなく、テナント家賃を払いながら経営が維持できるのかが全く見当つきませんでした。
そこで、弊社は自家用車で持っていたキャンピング登録の88ナンバーのアメ車フルサイズバンFord econoline E-150を改造して移動販売車にすることにしたのです。
そうすれば敷金礼金もなく、起業の持ち出し金額を抑えられ、もし売り上げが思うようにいかなくても維持費を安く抑えられたからです。
また、以下のことからも、マラサダはキッチンカーに向いた商材だと言えます。
・オペレーションが煩雑でなく機材も少なくて済む
・揚げのいい匂いで集客できる
・ハワイの商材ということでアウトドアが似合う
・公園やイベント会場で、手持ちで気軽に食べられる
・好きな人には刺さるのでハワイ好きの集まる場所に出向いていけばかなり売れる
外で出来立てのマラサダを食べられる
キッチンカーで売られているマラサダの大きな魅力と言えば、揚げたてです。揚げたてのマラサダは、外はカリッと、中はふわっとしており、甘さと香りが口いっぱいに広がります。
キッチンカーでは、注文を受けてから揚げることも多く、出来立てのマラサダを食べられます。また、外で食べることによって、景色を楽しみながら開放感も味わえるため、気分も上がるでしょう。
キッチンカーで売るマラサダの難点
キッチンカーマラサダを販売する際に、苦心する部分がないとは言い切れません。
具体的には下記の2つです。
キッチンカーマラサダ販売の難点
- 搭載できる設備が限られていて販売数の上限も低い
- 提供に時間がかかる場合もある
搭載できる設備が限られていて販売数の上限も低い
キッチンカーでは、平米数でいうと4〜6平米の空間で調理を行う必要があります。調理の際、搭載する必要のある機材はフライヤー・冷蔵庫・冷凍庫・レジなどです。
フライヤーは、例えば18リットルなら一度に18個程度揚げられます。揚げに5分かかるとすると、一時間に12回転で216個揚げられる計算です。
それだけの数を揚げるとなると、発酵もそれだけさせる必要があります。この発酵に3時間かかるとする場合、216個×3で648個を並べて発酵させる機材とスペースが必要です。
この際、移動販売車は外気温の影響を多分に受けるため、その648個の発酵が難しいです。
やっと揚げられても、毎時216個ぶんの揚がったマラサダに砂糖をまぶしたり、クリームを入れる場合は注入したり…。包装し、お客様にお渡しするのはなかなか大変な作業です。
会計の処理もそれにプラスされ、狭いスペースでの販売はかなり上手くやらないと(熟練しないと)販売数を伸ばせません。
このことから、大型イベントに対応する際は、設備を増強して出店する車両がほとんどです。実際、弊社もフライヤーを3台別に用意して挑んだイベントがありました。
実際、売り上げも莫大になりますが、
・人件費
・機材レンタル費
・前泊
・期間中の宿泊
・スタッフへの飲食費
・打ち上げ費
・準備の為の通常営業における臨時休業
・片付けのための臨時休業
・出店者説明会出席のための臨時休業
・そこそこ高額な出店費用
など・・・、売り上げはデカくても出ていくのも大きく、実際は『通常営業を続けたほうがよかったんじゃ?』ということもしばしばです。
提供に時間がかかる場合もある
上記の理由から、イベントでは長い長い行列を作ってしまうこともしばしばです。そうすると、お待たせしている申し訳なさからお客さんを直視できなくなります。。。
「目も見ないで接客しやがって」と思わないでください。見れないんです。。。
行列の後ろの方で諦めて行列から離れていくお客さんには、心の中で謝っています。
忙しいときはそんなですが、逆にヒマな時もお待たせしてしまいます。
なぜなら、マラサダは揚げ立てが命!揚げ貯めしていいのはどんどん売れる行列の時だけで、ヒマな時は生地のスタンバイ状態で来店を待ちます。
そんな時には、ご購入いただいた時に揚げ始めることになります。先述しましたが、マラサダは揚げるのに5分程度かかるのです。
この5分は、待たせる側も、そして待たされる側もなかなか長く感じる時間です。
そんな時には魔法の言葉があります。
「揚げ立てをご用意しますので少々お待ちください。」
これは長年やってきて編み出したのですが、「今から調理しますのでお待ちください」より全然お客様の反応がいいです。
今から・・・だと「え、今から揚げんの?待つのめんどい」と思うはずです。
揚げたてをご用意・・・だと「今からわざわざ揚げてくれるの?いいねぇ、待つよ〜」という感じになります。
世のマラサダ屋さん、是非お試しください。
地域に関係なくマラサダを楽しむなら通販がおすすめ
全国どこでも本場の味と食感を楽しみたいなら、通販がおすすめです。マラサダのキッチンカーには、雰囲気や開放感といった魅力がつまっていますが、買える場所が限定されてしまうという難点は避けて通れません。
弊社は2005年からマラサダ一筋で、全国数百店舗に販売実績があります。こだわりの素材と製法で作られたマラサダは冷凍保存できるため、レンジで温めるだけで出来立ての味わいが楽しめます。
外はカリッと、中はもちもち・ふわふわなマラサダは、甘いもの好きにはたまらない逸品です。種類や量も自由に選べるため、家族や友人と分けあったり、パーティーメニューの一品としても重宝するでしょう。地域に関係なくマラサダを楽しむなら、ぜひ弊社の通販をご利用ください。
まとめ
この記事では、キッチンカーで買う側目線ではなく、売る側目線で記させていただきました。売る側目線は、ご興味をいただけるかたは少ないかと思いますが、そんな苦労をしながらマラサダのキッチンカーは日々営業しています。
夏場のイベントは車内は灼熱で地獄です。黒いTシャツは汗の塩で白くなり、水を4リットル飲んだのに一度もトイレに行ってない なんてこともザラです。
限られた機材で灼熱の中、目を見れないほど申し訳なく思いながら行列に立ち向かっています。
なので行列からはぐれず、気長に並んでいただけると幸いです。自宅近くでキッチンカーを見かけたことがない、本格的なマラサダをいつでも手軽に食べたいという人には通販もぜひお試しください。