マラサダとは?

実はハワイ発祥ではない

マラサダ

今は、ハワイで有名になっていますが、発祥はハワイではなく、湘南でもなおさらなく、ヨーロッパで広く食されていた宗教的背景の強い家庭菓子です(日本でいうおはぎとかそんな感じ)。
今でもポーランドでは「ポンチキ」、ドイツでは「ベルリーナー」という似た食べ物があります。ポルトガルでは立ち飲みコーヒーのベーカリーにはマラサダが今も並んでいます。

どうしてハワイで人気に?

まだ、ハワイが王朝だったころハワイからの主要輸出品は砂糖でした。
そのため、サトウキビのプランテーションが栄えました。今でもその運搬に使用されていた電車が残ってたりします。
そして、その労働力を補うために多くの移民が集まりました。

私たち日本人やアジア人の移民は有色人種として劣悪な労働環境に置かれ、欧米からの移民は現場監督として馬の上からムチを振るっていたそうです。
(ご興味のあるかたは「ピクチャーブライド」という工藤夕貴さん主演の映画をどうぞ)
その任期を終えた人々は祖国に帰ったり、そのままハワイで独立したりしました。勤勉な日本人は多くの事業を興し、その地に溶け込み成功していきました。

ハワイで日本人に対する人種差別が少なく、尊敬すらされているのはその先達の努力のお蔭です。
中華系移民はチャイナタウンを作り独自の文化を守りました。その中でフィリピンやポルトガルからの移民はベーカリーを多く興しました。以前、出張で訪れたフィリピンのベーカリーを見学し、商品のバリエーション、クオリティーに驚いたことがあります。というのもフィリピンはスペインに統治された歴史が長く、ヨーロッパの製パン技術を取り入れているのです。
フィリピンのベーカリーでヨーロッパのお菓子が売られていても歴史的観点から不思議ではないのです。

このようにポルトガルからの移民が興したベーカリー以外に、フィリピンからの移民が興したハワイのベーカリーでもヨーロッパの家庭菓子が販売されていても、これまた不思議ではないのです。
一番初めにハワイでマラサダの販売を行ったお店には諸説あります。

マラサダの現在

今では何十件ものベーカリーでマラサダは販売されています。私の知るかぎりでもハワイ州内に20件程度のベーカリーがマラサダを販売しています。

ワイキキトロリーの停まる有名店、アロハスタジアムの移動販売車ローカルが集う店名に「マラサダ」の付いた店、デューティーフリーワイキキの隣にある日本に数十店を展開する店の本店、オバマ元大統領の母校の学園祭の屋台など様々な店で売られています。

その形も味も様々。真ん丸のもの、穴の開いているもの、四角いもの、トゲトゲのもの・・・。味も値段もこれまた様々。マラサダというと卵をたっぷり使用した揚げ菓子というのが定義なのでイーストを使っている店もベーキングパウダーを使っている店もどちらもマラサダです。

元々はイーストのなかった時代に、じゃがいもを発酵させて使用していたそうです。なので、今でもじゃがいも澱粉やタロ芋ペーストを使用する店が多いようです。
今でも、ポルトガルからの移民たちには、年に一度、教会に集まりマラサダを食べるイベントがあります。また、ハワイでホームパーティーやBBQをすると、数人に一人はマラサダを持ってくるであろうというほど人々に根付いたお菓子です。
Hawaii Five-Oというドラマでもマラサダは何度も登場しいています。
揚げたてが命の「マラサダ」。買ったらすぐに駐車場で一個は頬張るのが暗黙のルールのようになっています。

日本では・・・
2005年、弊社が設立。2008年、横浜にハワイから「有名ベーカリー」(許可をもらってないので名前は伏せます)が上陸。2009年、「ホノカアボーイ」というハワイ島を舞台にした映画にマラサダは登場し脚光を浴びせていただき急拡大したマラサダ市場。
しかし資本力に乏しい弊社はその急拡大の需要に沿った拡大ができず、逆にそれが功を奏し、一過性のブームにはならず、地道な定着を遂げました。
派手さには欠けるが安定の商品に育ってくれました。